フォレストガーデンは、自律的に成長する菜園
フォレストガーデンは、『森のように自律的に成長する生態系を作り、その生態系システムによって植物を育てる方法』です。
パーマカルチャーの手法としても知られており、特に海外のガーデナーによって活発に取り組まれています。
一般的な畑とは違い、フォレストガーデンは樹木や野菜やハーブ、その他雑草と呼ばれるような多種多様な植物を混植・密植します。
よく作られたフォレストガーデンはメンテナンスが楽で、主な作業はその日の食卓に必要な分の植物を摘んでいくことです。
『水やり』や『施肥』、『耕うん』は、出来る限りそこに存在する生態系に任せます。それは、植物、虫、動物などの全ての生き物です。
フォレストガーデンは、必ずしも広い敷地が必要なわけではありません。近所の空き地や自宅の庭など、小さな場所でも始めることが出来ます。
空き地を野菜の森に
まずは2016年に私たちが手掛けたフォレストガーデンをご紹介します。
初めてのフォレストガーデンは、自宅近所に60平米ほどの空き地を借りて制作しました。
これは、まだ植物やガーデンに関して右も左も分からない頃のもので、本当に人の手が入っていない森というか、まるで荒れた林のようになりました。
自分たちなりに基本だけを押さえ、あとは野菜やハーブの種と苗を植え続けました。借り地なので、果樹は植えていません。
野菜が生い茂るまでに2年以上はかかりました。
写真に見える植物のほとんどは私たちが植えたものです。
中に入ってよく見ると、野菜やハーブであふれています。
このガーデンでは肥料、水やり、耕うんは一切必要ありません。必要な作業は『植えつけ』と『収穫』そして『雑草の管理』のみです。
60平米の広さで、私たち夫婦2人分の野菜は十分に収穫することが出来ます。感覚的には半分ほどは収穫せずに朽ちて土に還っていました。
この空間には虫や爬虫類などがたくさんいます。植物に対しての虫害や病気はほとんどありません。
基本の考え方
自律的なシステム
自律的とは、『そのもの自体だけで調整を行ったり問題を解決したりなどを行うさま』を意味します。
つまり、私たちがあまり手をかけなくても植物が育ってくれる環境をつくることにフォーカスします。
森は、自然の状態では人間の介入がなくても自分で成長します。よく映画で、文明が滅んだあと都市が森に変わっていく様子が描かれますが、まさにあれが『自律的』な状態です。
うまく機能しているガーデンは肥料、水やり、耕うんが最小限で済み、私たちの主な仕事は『その日必要な食材を摘み取ること』になります。
自律的に成長するためには、その空間に『生き物がたくさん存在する状態』にすることがとても大切です。
関係性
土、植物、昆虫、爬虫類、小動物、菌。
それらがどのように関係し、相互に影響し合っているかを知ることが大切です。
私たち人間を含めて、その空間にいる生物は単体では存在できません。言うなれば『相互依存』の状態です。
例えば、フォレストガーデンで土を耕すのは植物の根や、微生物の活動です。
水や栄養は、根や微生物の動きによって出来た土の空洞(団粒構造)が保持します。また、地表を覆う植物が水分の蒸発を防いでいます。
肥料(栄養)は、マメ科植物の共生菌が土に放出したり、動植物の遺体が分解されたりして供給されます。
それぞれの役割や機能があり、複雑に関わりあうことで、森という舞台は成り立っています。ガーデンの場合は、『野菜を収穫したい』という私たち人間がこの関係性の中に加わります。
まずは自然をよく観察してみましょう。
多様性
果樹、野菜、ハーブ、雑草など多品種の植物を育てることで健全なガーデンに近づきます。虫や小動物も種類が多いほうがガーデンに生じる問題は少なくなります。
経験的には虫や病気の被害がとても少なくなります。そして、生育が良くなります。
私たち人間も、腸内細菌の種類が豊富なほうが免疫が高くなります。それと同様に、ガーデンも多様な生き物がいることで自律力と免疫力が高くなります。
まとめ
フォレストガーデンは奥が深くて、最初はどうしても抽象的な説明になってしまいます(ごめんなさい)。
話があっちにいったり、こっちにいったり。まだピンと来ていない方も多いと思います。
次の記事『フォレストガーデン【アイデア編】』ではもっと具体的な内容をご紹介します。