自家製・発酵たい肥の作り方

今回の記事は、自家製で醗酵たい肥をつくる方法をご紹介しようと思います。


家庭菜園をしていると『醗酵たい肥をオリジナルで作りたい』という気持ちが湧いてきますよね。

しかし実際に本やインターネットで調べて実行しようとすると、必要な資材や分量、栄養素の比率などが細かくて『一体どうすればいいんだ』と悩んでしまう方も多いのではないでしょうか。

この記事では出来るだけ【どこでも手に入る】もので醗酵たい肥を作ることが出来るように、細かい条件というよりは基本となる考え方をお伝えします。

有機物であればなんでもOK

発酵たい肥について調べると、

米ぬか、もみ殻、油粕、牛糞、鶏糞、魚粉

など、都会の一般家庭では身近で手に入らないものが多く出てきます。


わざわざお金をかけて手に入れたり遠くから運んできたりするのも少し躊躇してしまいますよね。


なので、まずは出来るだけ身近で手に入るものを見つけるのがお勧めです。


醗酵たい肥になる条件は、一言で言えば『有機物』です。有機物とは、『動物や植物の体をつくっているもの』と考えると分かりやすいかと思います。


そして、その有機物を微生物が分解してくれたものがをたい肥と呼びます。


『家庭の生ごみ、落ち葉、枯草』などの有機物はどこでも手に入れることが出来ますよね。

身の回りで無料で手に入るものを探してみましょう。

自然から学ぶ

たい肥を作るときに不安なのが『腐敗』と『悪臭』というイメージを持っている方は多いと思います。

しかし、自然の野や山を思い浮かべてみましょう。

自然の山では落ち葉や枯草が自然に朽ちて腐葉土になり、草や木の肥料になっています。

しかし、自然の山が腐敗や悪臭でいっぱいになることはありません。


これは、落ち葉や枯草には栄養分(窒素分)が少なく、また、山のふかふかな土によって水分量も適度に調整されるからです。


『栄養分』と『水分』が過剰にならないようにすることが大切であると、自然の山から学ぶことが出来ます。

窒素分が多いものと少ないものを混ぜる

発酵たい肥のために使えそうな素材を考えるうえでは

『窒素分が多いもの』と『窒素分が少ないもの』

を分けて探してみるようにしましょう。


『腐りやすいもの』は窒素分が多い

『腐りにくいもの』は窒素分が少ない


と最初はシンプルに考えましょう。



ざっくりとまとめると↓のようになります。

〇窒素分が多いのは『生ごみ』や『家畜の糞』『油かす』など。

〇窒素分が少ないのは『落ち葉』や『枯草』『もみ殻』『稲わら』
米ぬかなど。


たとえば、

『知り合いから牛糞をたくさんもらった』→『窒素分の少ない落ち葉や枯草を混ぜてみよう』

といった具合に調整します。もちろん稲わらやもみ殻が手に入る場合はそれでもOKなのです。



では、窒素が多いものと少ないものはどれくらいの分量で入れればいいのかですが、まずは

【窒素分が多いもの < 窒素分が少ないもの】

にしておくのがお勧めです。


その比率に決まった数字はなく、書籍やインターネットでも内容はバラバラです。

比率とは、【窒素分が多いものに対して、窒素分が少ないものを何倍混ぜるか】ということですね。


これは人によっても違いますし環境によっても違います。

『3倍くらい』という人もいれば、『10倍』という人もいます。


ひとまずは『窒素分が少ないものを2~3倍多く入れておこう』くらいに考えておくのがお勧めです。


水分を少なくする

発酵がうまくいくかどうかのカギは『水分』です。

水分量が多く空気が不足すると嫌気性発酵が優位になり腐敗と悪臭が発生しやすくなります。


たい肥にする素材を決めたらそれらを混ぜていくのですが、その際ちょうど良い水分量にするのがとても重要です。混ぜ合わせた段階で水分が少なかった場合は後から足せますが、多すぎる場合は簡単には対応できません。


①使用する前に水分を出来るだけ抜いておく

生ごみや家畜の糞は水分量が多いです。雨のかかならい場所でしばらく乾燥させて水分を抜くようにしましょう。

②水分が多いものと少ないものを混ぜる

枯草や落ち葉、もみ殻など(窒素分が少ないもの)は水分が少ないです。例えばしっとりした牛糞などを使う場合は水分の少ないものを多めに入れて調整します。

水分は握って確かめる

たい肥の素材を混ぜ合わせたら水分量を調整します。

基本は
【強く握りしめたら形が残る】程度です。


握りしめてもすぐにほろほろと崩れる場合は水分不足。

握りしめたとき水が滴る場合は水分過剰です。

土を混ぜる

素材を合わせていく際に入れておくといいのが【乾燥した土】です。


特に窒素分や水分が多い素材を使う場合はお勧めです。

土には細かい隙間(団粒構造)があり、この隙間にたくさんの水分を保持することが出来ます。また、土は匂いを吸着させて悪臭を減らす効果もあります。

適度に粘土質の土の方が隙間が多く効果が高いです。


また、土の中にはたくさんの菌がいますので、発酵を促進してくれます。

発酵起爆剤を入れる

発酵がスムーズに始まるように工夫出来ることがあります。

①糖質

菌たちは基本的に糖質が大好きです。特に発酵の初期段階で活躍する糸状菌は糖質が多いと一気に増殖し、素材の有機物を他の菌たちが食べやすい形に分解してくれます。一番メジャーなものは【米ぬか】です。発酵の初期段階で米ぬかを入れる人が多いのは、このような理由です。米ぬかの量の目安は素材の分量の5%程度で十分かと思います。

②菌

発酵のための菌を混ぜておくのも発酵をスムーズにするコツです。前述したように土の中にもたくさんの微生物がいますが、例えば、落ち葉なども最適。落ち葉を見ると白い糸のようなものが張り巡らされていることがありますが、これは糸状菌(カビ)です。朽ちかけて糸状菌がいる落ち葉があればぜひたい肥素材に混ぜましょう。

雨のかからない環境で保管

素材を混ぜて、水分量を調整したら雨がかかならい場所で保管します。

量が多いたい肥(300L以上)では、発酵によって60~70℃まで温度が上昇していきます。

雨が入って水分が過剰になると致命的ですので、注意してください。

切り返し

発酵が始まると分解が進みますが、有機物の表面と中心部で差が出てきます。表面は空気に触れやすいので好気性、中心部は空気に触れないので嫌気性になりやすいです。

この差をなくすために定期的に切り返しを行います。

ぬか床を定期的に混ぜるのと同じような原理です。全体に空気がいくように満遍なく混ぜましょう。

うまく発酵が進むと温度が上がっていきます。切り返しの最初のタイミングは温度が上がりきって下がり始めたとき。あとはひと月に一回程度、定期的に切り返しましょう。


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