今回は、野菜の乳酸発酵についてご紹介します。
乳酸発酵の漬物は、野菜を塩で漬けて発酵させるだけの極めてシンプルな漬物です。
乳酸菌によって野菜の栄養成分と旨みが増します。
乳酸発酵の仕組み
乳酸発酵は、『乳酸菌』と呼ばれる菌を利用します。
乳酸菌というと、ヨーグルトを思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。
実は乳酸菌はどこにでも存在していて、私たちの腸内にもいますし、野菜にも自然に付着しています。
野菜を塩に漬けることで乳酸菌が働きやすい環境を作ってあげると、発酵が始まります。
《乳酸発酵の仕組み》
①まず、野菜を塩分2%の塩水につけます。
すると、塩の浸透圧による脱水作用が働き、野菜の細胞から水分が抜けます。
②塩水によって野菜に付着しているその他の菌(腐敗菌)が活動しにくくなります。
これは、腐敗菌自体も塩の浸透圧によって脱水されて死んでいくからです。
また、菌が活動するためには水分が必要なので、脱水された野菜の中では菌が活動が出来なくなります。
③腐敗菌が活動しにくくなった段階で、乳酸菌がメインで活動し始めます。
乳酸菌は塩がある状態でも活動が出来るので、他の腐敗菌のように活動できなくなることはありません。
④乳酸菌が野菜の糖分やタンパク質を分解し、甘味や旨みが増していきます。
⑤そのとき、乳酸菌は副産物として『乳酸』をたくさん作ります。漬物の甘酸っぱい香りはこの乳酸によるものです。乳酸が増えると、野菜は酸性に傾きます。
酸性になると腐敗菌はさらに活動できなくなり、『塩+乳酸』によって乳酸菌がぐんぐん育ち、野菜を漬物へと変えていきます。
塩と発酵の関係についてはこちら↓の記事でもまとめているので、ご覧ください。
作り方【簡単3ステップ】
乳酸発酵の漬物の作り方は色々ありますが、どの方法も原理原則は同じですので、やりやすい方法でトライしてみてください。
漬ける野菜は、基本的になんでもOkです。ただし、アクが強い野菜は避けましょう。
今回はご近所さんからいただいたベトナムきゅうりと白菜を漬けていきます。
①ビンやタッパー、チャック付きビニール袋など、口が閉じられる容器の中に、『野菜』と『2〜3%の塩水』を入れます。
3%濃度の塩水の場合、水200ccに対して塩小さじ1(6g)です。
その際、野菜は刻んでおくとしっかり漬かります。
塩水は野菜が全て漬かる量を入れてください。野菜が空気に触れると、意図しないカビが生える可能性があります。
②その後、常温でしばらく放置します。
このとき、発酵によってぷくぷくした炭酸ガスが出ます。
ガラスの容器を使用する場合は、破裂を防ぐために蓋は完全に密閉しないようにします。空気が抜ける程度に、軽くかぶせておきましょう。
③汁が白っぽくなって、甘酸っぱい匂いがしてきたら乳酸発酵が出来ています。その後は冷蔵庫で保管して食べましょう。
『野菜が塩水に全て漬かる』ことがポイントです。自分なりの作りやすい方法を模索してみましょう。
また、発酵まで進めずに数時間だけ漬けて食べるようなものを『浅漬け』と呼びます。
乳酸発酵が出来たかどうかは『甘酸っぱい良い匂い』で判断しましょう。
発酵が進むにつれ、少しずつ酸味が強くなり、野菜の食感がやわらかくなっていきます。
酸っぱくなりすぎて、そのままでは食べにくくなってしまったら、ポテトサラダに混ぜると美味しくいただけます。
こちらで紹介していますので、試してみてくださいね。
美味しく効率よく栄養を取り込みながら、廃棄ゼロを目指しましょう。